
まずはレースの輪郭から整理しておきます。
1. 内枠優勢はまだ生きている
ダービーや天皇賞・秋は「昔ほど内が絶対ではない」と言われるようになりましたが、それでもこのレースに関しては内がまだ強いです。理由はシンプルで、東京芝がBコース替わりの初週で行われることが多く、外より内が走りやすい状態でレースを迎えるためです。
実際、過去10年の枠番別成績を見ると
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青帽4枠…5-0-1-12(連対率かなり優秀)
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白帽1枠…1-2-0-11
に対して、 -
ピンク帽8枠…0-0-2-20(連対ゼロ)
と極端。フルゲート想定で頭数バランスを考えても「外より内に越したことはない」というのが、このレースの根っこにあります。
今週は土曜が雨予報。馬場がどこまで回復するかは読まないといけませんが、Bコース替わり初週である以上、極端外はできれば引きたくない、というのが多くの陣営の本音でしょう。
2. スピード適性と馬格が問われる“中距離GⅠ”
2008年、ウオッカがダイワスカーレットと名勝負を演じたときの1:57.2が「とうとうここまで時計が来たか」と言われましたが、今となってはそれすら古い話。
一昨年のイクイノックスが刻んだ1:55.2はさすがに異常値としても、57秒台決着は今や標準圏です。
そうなると、
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2000m以下での実績があること
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極端な“長距離寄り”ではないこと
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レースを引っ張る馬がマイラー寄りか中距離寄りか
このあたりが結果に直結してきます。
今年、逃げ・ハナ候補として名前が挙がるであろうメイショウタバルは、個人的には「マイラー型に近い中距離馬」という認識です。ペースを上げてくると見ておいた方が良いかもしれません。
そして、こうした速い決着で走っている馬の馬体重帯もある程度決まっていて、480〜510kgあたりがよく走る。
ウオッカもダスカも490kg台、05年の大穴ヘヴンリーロマンスは510kg。
“マイル〜2000mのトップスピード比べをスタミナで持たせる”には、そのくらいの馬格があった方が楽、ということなのでしょう。
3. “若い順に強い”のは続くのか
これも速い決着のGⅠらしい特徴で、3・4歳がやはり一枚上。次いで5歳、6歳はぐっと成績が落ち、過去10年で6歳馬は【0-0-0-42】と厳しい数字です。
今年で言えば、イクイノックス・ドウデュースを輩出した“あの世代”がベースになりますが、年長側で出てくるのはジャスティンパレス・セイウンハーデスあたり。
同じ6歳でも、
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ジャスティンパレス…ノーザンF生産
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セイウンハーデス…個人牧場(鮫川啓一氏)
で、字面だけでどちらを拾うかと言われれば、現状を抜きにすればセイウンの方を穴で拾いたくなる、というのが今回のメモ的スタンスです。
ここからは個別の出走馬考察です。
※抽選対象、出否未確定馬は除外しています。
アーバンシック
相変わらず器用ではないタイプ。
宝塚記念は「もうちょい外が伸びる馬場だろう」と読んでいたところが真逆になってしまい、これはもう仕方なし。ただ、この馬が「内枠なら良かったか」と言われるとそれも違って、多頭数の内で溜めて→直線でスパッと、というタイプではないんですよね。
東京2000mでスピード寄りの流れになると、決め手の質よりも“リズム良く走らせられるか”が問われます。この点で、当週から来日するプーシャン騎手の乗り味がどう出るかは見ておきたいところ。馬場が少し渋って、時計が1〜2段階落ちるなら浮上はあります。
エコロヴァルツ
結論から言えば、ここではしんどいと思っています。
大阪杯の4着はミルコの好騎乗によるところが大きく、ベストパフォーマンスは昨年のディセンバーS。
東京2000mというより、コーナー4回のゆるむ2000mの方が向くタイプに見えます。
クイーンズウォーク
舞台自体はそこまで合わないわけではありません。能力も高いレベルで安定。ただし牡馬一線級に真正面からぶつけたいタイプかと言われると、そこは慎重に見たい。器用さでもう一歩ほしいですし、放馬取消後という点でも積極的には買いづらい。
とはいえこのレースは「大きめ牝馬」が走ることは走ります。データだけ見ると面白い存在。
コスモキュランダ
言わずもがな“中山向き”で、東京2000mの超スピード決着は本来歓迎タイプではないと思っています。
ただ、この馬は乗り替わりで良さが出るタイプなのが厄介で、今回の“今開催の東京で絶好調の津村騎手”というのはとても不気味。
外目でスムーズ、雨が残る、となれば押さえに回したくなる一頭です。
ジャスティンパレス
“東京の大箱なら動けるんじゃないか”という淡い期待を持ちたくなる馬ですが、現状の「高速決着2000m」には適性が揃っていないと思っています。
前走はデムーロ騎手が完璧に近い立ち回りで末脚を引き出しましたが、年齢的にも“舞台を選ぶ段階”に入ってきた印象です。
シランケド
今年のメンバーで、データ上“ちょうどいい大型牝馬”と言うならまずこの馬。
父デクラレーションオブウォーで天皇賞・秋を勝てるか?というのは一度脇に置きたいのですが、今の充実度・完成度なら一発あってもおかしくありません。
横山武史騎手が悪い、という話では全くないですが、「末脚の出しどころを測れるジョッキーで見たかった」というのは本音。
馬場は渋った方が良いです。高速決着になってまで勝ち切るなら、馬場が荒れて他が力を出せないくらいの条件がほしい。
セイウンハーデス
「どう料理するか」でガラッと評価が変わる馬。
前走で“この馬、安田記念で見たいな”と思わせるくらいの切れと集中力があったので、正直東京2000mはベストではないはず。
とはいえ、今年は力比較がしづらいメンバー構成になりそうで、雨・馬場・枠が噛み合えば走れてしまうだけの完成度もある。6歳だから即消し、というタイプではないですね。
ソールオリエンス
これはもう改めて書くまでもなく、パワーor道悪寄りの舞台でこそ。
今のこの馬なら2000mよりもう少し長い方がレースしやすいですし、東京2000mで、しかも“少し渋ったくらい”だとまだ足りない。
他が力を出せないくらいの雨なら一変はあります。
タスティエーラ
堀厩舎らしく、一度リズムを崩したところから香港で立て直してきたのはさすが。能力的にはもちろん足ります。
ただし、ここを目一杯…ではないはずというのがまず一つ。
さらに、マイラー寄りのタバルが引っ張るような流れは、この馬にはあまりフィットしません。
前半から前へ行けて、なおかつリズム良く走れるなら買いますが、現状の感触だと「薄く押さえ」寄り。
ブレイディヴェーグ
現時点での先出し本命候補。
体質的な弱さは誰もがわかっている前提ですが、昨年の段階で府中牝馬→天皇賞・秋のローテが見たかった馬で、むしろそのときの方が“ここと真っ向勝負”できたと思っています。
今年はマイラー寄りに作って安田記念から、という臨戦になりましたが、一度中距離を噛ませてからここというのはむしろ好材料。
去年なら「ドウデュース相手にどこまで」だったところ、今年のメンバーなら能力で普通に足りる。
ジョッキーも今回は手が合うタイプを確保できた印象で、あとは枠さえ極端でなければ本線で良いと考えています。
ホウオウビスケッツ
この馬はメンタルの強さが武器。
凡走の後に普通に巻き返してくるタイプで、中日新聞杯→東京新聞杯、今年の金杯→金鯱賞→札幌記念後の走り、と“落ちない”のがいい。
岩田康誠騎手とのマッチングも非常に良く、今回もおそらく状態は高いところで出てくるはず。
気になるのはやはりメイショウタバルとの兼ね合いと枠の並び。内を取りたいのはこちらです。
マスカレードボール
予定通り、という天皇賞・秋。
2週続けてのルメール騎乗で人気は必至、外枠を引いたらどうするのかという問題は残りますが、潜在能力は古馬とやれる側です。
が、正直に言えば「毎日王冠→天皇賞・秋」のような、もう一段スムーズな中距離ローテで見たかった馬でもあります。
乗りやすさの面で一枚クセがあるので、人気とのバランスでどこまで買うか、という馬。
ミュージアムマイル
こちらは前哨戦を使ってくるパターン。
“左回りが…”と言われることもあるようですが、そこよりもスタート→リカバリーできるかどうかの方が大事だと思っています。
C.デムーロ騎手なら不足なし。むしろこの騎手を乗せるなら距離短縮ローテはプラス。
中〜内枠を引けば、想像以上にスムーズに走ってくる可能性があります。
メイショウタバル
武豊騎手の会見がやや慎重気味に見えたのは、こちらの感触とも一致します。
宝塚記念は恵まれただけではないが、それでもあの形がこの馬のベストに近いのは確か。
今回、ルメール・Cデムーロ・レーン級が揃う中で「注目されている逃げ馬」として行くのはさすがに楽ではありません。
あるとすれば白帽を引いたときに、最初から最後までこの馬のワンマンレースに持ち込めた場合。ドバイターフのような条件の方がよりハマる馬だと思っています。
まとめ(暫定)
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今年も基本線は 内枠・スピード・若さ
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ただし雨量次第で“渋った適性+外目ののび”が浮上
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現状の本線候補:ブレイディヴェーグ
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押さえに回したいのは:シランケド/コスモキュランダ(雨&外)/セイウンハーデス
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“舞台さえ噛み合えば怖い”のが:ミラージュナイト系のスタミナ持続型…がいれば一考(=今年の登録にいたら拾いたい枠)
あとは金曜時点の馬場と枠順でかなり形が変わるレースになります。
Bコース替わりの“内がまだ残る”か、“雨で外が良くなる”か――ここを見極めて最終結論に寄せていきましょう。
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